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チベットのヒマラヤ:20

 上図5点はツェ・ラ(峠)の様子。峠の位置は下図だ(広域図と拡大図)。峠は複雑な地形の山岳地帯を通る難所だ。此の辺りの地形は、ヒマラヤ造山活動の産物だ。プレート活動で南から押され隆起したのがヒマラヤ山脈で、押された反対側の北側では地殻に潜り込んでいる。その潜り込み帯に出来たのがヤルンツァンポ河だ。潜り込まれたヤルンツァンポ河の北側(内陸側)は隆起した。其の隆起帯の景観が此のページだ。ヤルンツァンポ河の北側はニェンチェンタンラ山脈となる。このページはヒマラヤ山脈とニェンチェンタンラ山脈の境界の紹介でもある。峠は盛夏の8月初めなのに朝晩は雪が降り、通行も難儀を極めた。

 下図5点はソビヤ・ラ(峠)を囲む山々の様子。遠くジュガール・ヒマールまで視界に入り、峠からの景観は壮大だ。難所の通過には数時間を要した、その結果様々な山の姿が観察出来た。

 

 

 

 下図にチベットの悪路を紹介。上の左右2点はツェ・ラ(峠)標高5000m、1車線のガードレールの無い雪の山腹を走行。山腹道は路肩が崩れても降雪が増えても、走行不能になる。対向車が来たら一大事だ。山頂には5色のタルチョ(祈願旗)が出迎える。其の下3点はソビヤ・ラ(峠)標高5100m手前の難所、此の峠の手前は、雨季は水中走行だ。これ等は2006年8月撮影、此の2年後の北京オリンピックを境に道は整備され、今は高速道路が走る。これが国道219号線(新蔵公路)だ。チベットの中心部から新疆ウイグル自治区の西の首都・カシュガルまでを結ぶ大動脈がこの道で、日本で云えば東海道だ。

 

 下図4点は峠の道前後。稜線下部の雪が切れた山肌は地衣類・苔・短草の緑が覆う、更に下は湿原と氾濫原の世界だ。

  峠の前後には高層湿原が広がる。下図は地衣植物を食べる羊たち、8月の盛夏にも雪が降る、夏草を充分に食べなければ羊達は冬を越せない、採餌は羊にとって必死の作業だ。朝から晩までこの作業は続く。のどかに見えるが実は違う。山裾に並ぶ低い電柱は光ファイバーの通信線だ、チベットではいたる処、延々と低い電柱が並ぶ。チベットに対する北京の軍事支配には、不可欠の通信網だ。羊達の長閑な風景とは対照的な、穏やかならざる風景だ。

 

 

 

 

工業製品に埋もれた消費社会とは距離を置いた、内陸アジアの自然と人間を紹介いたします。此処には、私たちの美意識の源泉・文化の源泉が数多く現存し、自分が知らない事に驚きます。此処には有史以前から今も変わらない人跡未踏の雪山や氷河、0m地帯の広大な砂漠や標高5000mの草原、アジアの大河の源、幾百千年来の隠れ里等など、枚挙に暇の無い非日常が今も生きています。大地と太陽・水と植物・自然の恵みを友に、人口エネルギー消費ゼロで暮らす人々も沢山います。この地域の総面積は日本の国土の20数倍・北米の面積にも相当し、此の地の地下資源を世界は注視してます。近い将来の「地下資源&エネルギー」枯渇時に、工業生産國は衰退・崩壊する「現代文明の病理」を背負ってますが、内陸アジアは背負ってません。この問題は最終章「黙示録」で考察してます。内陸アジアには持続可能な社会の雛型が有史前から連綿と続いています。
 

 
 
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