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チベットのヒマラヤ:5

 

 

 上図と下図2点は何れもカンペンチン(7281m)。時間が創る赤・白・青のカンペンチンを並べて見た。シシャパンマBCの正面を飾る巨体は百面相だ、日がな眺めていても飽きない。食事をしながら眺め、ヤクのミルクティーに砂糖を入れ熱々を手にしながら眺め、夜景も眺め、眺める毎に表情が異なる。チベットの気象変化が多彩なゆえだろう。此の地には1日に四季が有る、朝は冬、陽が昇り春、日中は盛夏、日が傾き秋、沈んで初冬、未明は厳冬。その節々で雲の高低、風速、風向、湿度も気温も変わる。荒れた山肌も一夜で潤いをおびる。テント内で食事をし、数分眼を離しただけで、チャンスを逃し痛恨の悔いを残す事もしばしばで、ハンティングの様なものだ。たかが写真とは言え、気力・体力・集中力を切らすことは出来ない、それが山岳写真だ。

 

 

 

 

  下図4点は、上図のカンペンチンの北70Kmを奔る、ヤルン・ツァンポ河周辺の風景で、上図とは対照的だ。

 

 上下の2点は巨大な風景に溶け込む遊牧民の夏季住居。不毛と思われた地肌が夏季には地衣植物の緑で染まる。

 

 

 上下図2点は山地から離れた湿原の風景。夏は凍土が解け平原が湿原の変わる。

 

 

 

 

 

 

  此の地では天と地が混然一体と化す時間が有る。積乱雲が地上まで下降し、大地を飲みこむ時がそれだ。

 

 

 チベットの山裾は、動物達の旺盛な食欲に耐えるに余る植物を生産する。表土の下は永久凍土だ、この凍土が夏の草原を豊かにする。動物たちは夏に新鮮な植物を十分に摂取しないと、長い冬を越せない。温暖化は凍土を後退させ地下水位を深い位置に追いやる、結果地表は砂漠化し、植物量は減り、冬を越せない動物が増える、此の様な事態が低標高のモンゴル高原で10年以上前から起きている、此の事は、チベットにおいても他山の石では無い。チベットの自然環境は幾千万年の時間の創造物だ。今、文明と云う怪物がチベットの自然を食い尽くそうとしている。

 

 

 上図はシシャパンマ(8013m)。下図は上図を含むシュガール・ヒマールを遠望。

 

工業製品に埋もれた消費社会とは距離を置いた、内陸アジアの自然と人間を紹介いたします。此処には、私たちの美意識の源泉・文化の源泉が数多く現存し、自分が知らない事に驚きます。此処には有史以前から今も変わらない人跡未踏の雪山や氷河、0m地帯の広大な砂漠や標高5000mの草原、アジアの大河の源、幾百千年来の隠れ里等など、枚挙に暇の無い非日常が今も生きています。大地と太陽・水と植物・自然の恵みを友に、人口エネルギー消費ゼロで暮らす人々も沢山います。この地域の総面積は日本の国土の20数倍・北米の面積にも相当し、此の地の地下資源を世界は注視してます。近い将来の「地下資源&エネルギー」枯渇時に、工業生産國は衰退・崩壊する「現代文明の病理」を背負ってますが、内陸アジアは背負ってません。この問題は最終章「黙示録」で考察してます。内陸アジアには持続可能な社会の雛型が有史前から連綿と続いています。
 

 
 
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