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チベットのヒマラヤ:4

   上図はぺク・ツ゚ォ(湖面標高4600m)。湖畔には原生植物を思わせる地衣類が繁茂し異様な雰囲気を醸し出す。空の濃紺色を映し出す湖面が周囲の色彩を引き裂き地上の曼荼羅画を創る。シシャパンマBCの北30kmに在り、BCからは手に取る近さに見える。原野をランクルで走り、接近を試みたが、2時間かけても近ずけず、視覚が現実では無い事をチベットは教えてくれた。湖にはヒマラヤ山脈の氷河からの細い流れが無数に奔る。

 

 

    下図は上図の湖畔、ジュガールヒマールの山裾でも有る。ヤクが地衣を食んでいる、痩せた姿が痛々しい、眼前にチヤルン・リ(6767m)からの氷河が迫る。

 

 

 

   下図はシシャパンマ(8013m)、白銀の山裾は起伏に富んだモレーン台地だ。台地は8000m峰からの下降気流が刻み続け、此処にも曼荼羅画を描く。

 

 

 

    チベットの魅力の第一は空だ。白銀の雲・濃紺の天・時間軸の光が創る刻々の絵がチベットを演出する。低緯度の此の地は、中天の陽は台地を焦がし、大地の水分を上昇気流に乗せ、巨大な雲塊を生む。雲塊は集まり天空で踊る。雲塊個々のエネルギー差は雷光を発し、空に賑わいを添える。チベットの空は激しい、曼荼羅絵の鬼神の様に激しい。やがて雨柱が立ち、雪柱が立ち、闇に転じる。乾いた大地は脈絡の無い流れに呑まれ、逃げ場のない海と化す、細い流れは濁流の渦を巻く。目を転じると乾いた大地と太陽が何事も無く笑っている。チベットの空は無限に広い。

 

 

 

   都市文化の造形には決して現れない多次元曲線が日常なのが此の地だ。自分の内臓の襞に包まれているかの様だ。此処はカオスの世界だ。

 

 

 ここチベットはヒマラヤ山脈の北側=内陸側に位置する。ヒマラヤ山脈が大陸の衝突圧力で出来た時に、地球内部から押し出された地殻は、此処に絵柄の姿で証拠を残した。下図の崖下の建物の柱は、1903年イギリス軍がチベットに侵攻した時の残痕だ、此処には幾つもの証拠が現存する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

工業製品に埋もれた消費社会とは距離を置いた、内陸アジアの自然と人間を紹介いたします。此処には、私たちの美意識の源泉・文化の源泉が数多く現存し、自分が知らない事に驚きます。此処には有史以前から今も変わらない人跡未踏の雪山や氷河、0m地帯の広大な砂漠や標高5000mの草原、アジアの大河の源、幾百千年来の隠れ里等など、枚挙に暇の無い非日常が今も生きています。大地と太陽・水と植物・自然の恵みを友に、人口エネルギー消費ゼロで暮らす人々も沢山います。この地域の総面積は日本の国土の20数倍・北米の面積にも相当し、此の地の地下資源を世界は注視してます。近い将来の「地下資源&エネルギー」枯渇時に、工業生産國は衰退・崩壊する「現代文明の病理」を背負ってますが、内陸アジアは背負ってません。この問題は最終章「黙示録」で考察してます。内陸アジアには持続可能な社会の雛型が有史前から連綿と続いています。
 

 
 
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