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チベットのヒマラヤ:2

 

 

 

 

 

 上図3点と下図1点は、標高5000mのザ・ラ(峠)周辺の景観だ。雨上がり深い霧の中から現れた光景に息を呑んだ。ヒマラヤ山脈からの気流がヤル・ツァンポ(河)へ流れる回廊に位置し、西チベット域への分水嶺でもある此の地は無限の神秘を抱え、異界の風景を展開する。遠く山裾に佇む集落には近ずけない、道も無い、保護区であり、汚染からの遮断も配慮されている。絵柄は8月初旬、放牧の羊の群れが白く光る、

 

 

 

 

 上図の50kmほど南東に移動したぺク・ツ゚ォ(標高4600m)湖畔の景観が下図2点だ。岩峰の奥には氷河とチヤルン・リ(6767m)が有る。下は湖畔の遊牧の家族、夏の放牧地としてぺク湖畔に居を構えている。遊牧は植物を保護する為に放牧地は移動する。とりわけ此処は自然保護区で、その管理は厳しいと聞く。自然保護区とは言え、ここは新蔵公路(219号線)と中尼公路(318号線)の接続路に使われている。接続路は舗装も標識も路らしさも無い原野の自然道だ、雨が降ればワダチは消える。湖に流れ込むヒマラヤからの小川には橋なぞもとより無い、一雨有れば直ぐに周囲の水が集まり増水だ。霧が出たり暗く成ったら方角すら分からない、でも、車の往来は増え、他とは違う賑わいが有る。汚染が心配だ。ごみ処理・し尿処理機能は0だ。之はチベットのいたる処で起きている環境汚染だ。

 

 

 ぺクツォ湖畔の遊牧民家族。テントはヤクの皮で作られた保温に優れ丈夫なものだ。標高は4600m 

 

 

 

 

 

 

 

 

   下図3点はぺク湖の南を飾るシュガール・ヒマールの山々。上より、ポーラ・ガンチェン(7661m)、シシャパンマ(8013m)、タグ・ピーク(6846m)。シシャパンマ・ベースキャンプ(標高5000m)からの眺望。山裾のモレーン台地が夕日に光る。モレーンは氷河に削られた山肌の岩屑だ、モレーンの下には氷が眠る、永久凍土の層がこの下に厚く眠る、氷河と合わせ、其の淡水量は膨大だ。ヒマラヤの氷河が抱える淡水量やチベットが抱える永久凍土の淡水量は、アジア大陸の多くの命を支えている。アジア大陸は世界の60%の人口を抱え、その何割かの命を此の地が支える。1巻冒頭の地図に在る様に、チベット自治区の面積は日本の国土の3倍、チベット文化圏を含めると5~6倍になる、此の地全部が淡水の水瓶だ。

 

 

 

 

 

工業製品に埋もれた消費社会とは距離を置いた、内陸アジアの自然と人間を紹介いたします。此処には、私たちの美意識の源泉・文化の源泉が数多く現存し、自分が知らない事に驚きます。此処には有史以前から今も変わらない人跡未踏の雪山や氷河、0m地帯の広大な砂漠や標高5000mの草原、アジアの大河の源、幾百千年来の隠れ里等など、枚挙に暇の無い非日常が今も生きています。大地と太陽・水と植物・自然の恵みを友に、人口エネルギー消費ゼロで暮らす人々も沢山います。この地域の総面積は日本の国土の20数倍・北米の面積にも相当し、此の地の地下資源を世界は注視してます。近い将来の「地下資源&エネルギー」枯渇時に、工業生産國は衰退・崩壊する「現代文明の病理」を背負ってますが、内陸アジアは背負ってません。この問題は最終章「黙示録」で考察してます。内陸アジアには持続可能な社会の雛型が有史前から連綿と続いています。
 

 
 
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