白岩吉明オフィシャルサイト 量子物理学ノート:3 宇宙船地球号 |
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上図:出典:click 太陽系の形成を表した想像図 (Credit: NASA) 太陽系が形成された時間を見積るとざっと,約46億年前の太陽誕生時の、20万年だった――そんな研究結果が米国のローレンス・リバモア国立研究所のGreg Brennecka氏が率いる研究グループによって報告されました。太陽や地球など太陽系の惑星は、ガスや塵からなる大きな雲(分子雲)が潰れることで誕生したと考えられています。ガスの雲が潰れてから太陽が「点灯」するまでに経過した時間は100~200万年と見積もられていますが、太陽系の形成に:3費やされた時間は不明でした。 下図:出典:click 約46億年前に太陽系ができた時に、地球も同時に誕生しました。地球は当初、直径10kmほどで隕石や微惑星が衝突を繰り返し、出来上がったと言われています。球が現在の大きさに成長するまでの時間は1億年程かかったと言われています。その中間の約5000万年後に現在の半分の直径となり火星と同じくらいの大きさになっていました。このとき、核・マントル・マグマオーシャン、原始大気など、現在の地球を作るための基本的な層があったようです。地球が生まれる前約46億年前、つぎつぎと衝突を繰り返していた微惑星。その微惑星が衝突を繰り返すことで大きく成長していくことになります。直径10kmほどの大きさになるのに、1億個の隕石や微惑星が突していたということです。地球が生まれる原形が誕生微惑星などの衝突の結果、直径300kmほどに成長したのが地球の素になります。引力が弱いため、丸い球形ではなくいびつな形をしています、下図は地球誕生時のイメージ図。 |
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下図:出典:click 過酷な惑星の成長の激動を知らせる、理論的には、地球のような岩石惑星は小さな天体がぶつかり合って成長すると言われています。地球と金星は、おそらく完全に成長する前に、これらの巨大な衝突を約12回受けました。月を創造した.しかし太陽系におけるそのような出来事の痕跡のほとんどは、とうの昔に消え去ってしまいました。カリフォルニア州マウンテンビューにあるSETI研究所のロクサナ・ルプ氏と彼女のチームは衝突したばかりの太陽系外惑星を見つけることができれば、このアイデアを検証できると考えています。下図:岩石惑星の衝突で地球が成長するイメージ図 |
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下図:ジャイアントインパクト仮説のイメージ図。約45億年前、大変動が起こりました。火星ほどの大きさの原始惑星が地球に激しく衝突し、地球のかなりの部分が宇宙に飛び散りました。物質の一部は地球の地表に落ち、一部は地球の周りの軌道に残り、合体して大きな天体になり、それが地球の生涯の伴侶となり、地球の唯一の天然衛星である月となりました。此のジャイアントインパクト仮説は、月が初期の地球と火星サイズの惑星であるテイアとの衝突の結果として形成されたことを示唆しています。画像:は地球の軸が回転面に対して約23度傾いてます。さらに、その衝撃で地球のコアが溶け、マグマの海が地表に浮かび上がりました。 |
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下図:地球程と月の進化図 出典:マーク・ガーリック / サイエンス・フォト・ライブラリー 地球-月系の形成の段階。地球が形成されたのは、火星の約3倍の質量を持つ巨大な原始惑星(テイアと呼ばれることもある)に衝突した時(46億年前)でした。テイアと地球は斜めの衝突によって完全に消滅し、溶けた岩石とガスのドーナツ型の雲を作り出した。やがて、この中心が合体して新しい地球が形成され、残った残骸が月を形成しました。下図は変化過程のイメージ図。 |
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下図:出典:click 初期の地球は都市サイズの小惑星によって爆撃されました。衝突によって生成された巨大な溶岩湖は、溶岩のガス放出によって維持された厚い温室大気の下で、地表の液体の水と共存していました。科学者たちは、地球が遠い時間に巨大な衝突体に襲われたことを知っていますが、新しい分析はこれらの衝突の数が以前に考えられていたよりも10倍多かった可能性があることを示唆しています。これは、25億年前から35億年前まで、平均して1500万年ごとに、恐竜を絶滅させた小惑星の衝突と同規模の衝突の集中砲火に相当します。これらの個々の影響のいくつかは、都市規模のものから小さな州規模のものまで、はるかに大きかった可能性があります。研究者たちは、この影響が地球の地表付近の化学的性質の進化にどのような影響を与えたかについても検討しています。この研究は、ゴールドシュミット地球化学会議で発表されました。地球の初期の頃は、今日と比べると想像を絶するほど暴力的でした。科学者たちは、地球がかなりの数の大型小惑星(直径10km以上)に衝突したと信じており、これは地球の表面近くの化学的性質と生命を維持する能力に大きな影響を与えただろうと考えています。 |
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下図:出典:click 地球上の生命の起源につながった可能性のある単純な化学プロセスが明らかになりました初期の地球で生命どのように形成されるかについては、さまざまな説があります。生命は、潮だまりや浅瀬の温泉など、単純な化学反応が生命の前駆体を生み出すのに役立った特殊な環境で発生した可能性があるという説が有力です。すべての生命はポリマー、つまりモノマーと呼ばれる一連の分子からなる大きな分子で構成されています。重要な疑問は、初期の地球で酵素なしで生物学的高分子がどのようにして形成されたのかということです。 |
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下図:出典:click 石炭紀(せきたんき、Carboniferous period)は、現在より3億5920万年前から2億9900万年前までの時期にあたる。1年中湿潤な熱帯気候であったといわれる。石炭紀には木材のリグニンを分解できる菌類が十分に進化しておらず,森林の繁栄により大量の炭素が石炭として固定化され、ペルム紀初期の大気中の酸素濃度は35%に達したといわれる(現代は21%)。このことが動植物の大型化を可能にしたと考えられている。また、植物が繁栄したことで大量の二酸化炭素が吸収され、その多くが大気中に還元されずに石炭化していったため、大気中の二酸化炭素濃度が激減した。これが寒冷化と氷河の発達、ひいては氷河時代の一因とされる。下図は石炭紀のイメージ図 |
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下図:出典:click 化石燃料とは。メリットとデメリット。現在の課題は、動植物の化石から発生した石炭・石油・天然ガスなどの燃料資源のことです。身近な資源の一つである化石燃料のメリットは、少ないコストで多くのエネルギーを作れること、運搬や貯蔵を容易に行えることなどです。一方で、燃料の枯渇や地球温暖化ガスの排出など、いくつかの問題点やリスクも抱えています。これらの問題は地球環境に大きな影響をもたらすことから、近年は化石燃料からの脱却や他の資源への転換を求める動きが世界中で高まっています。日本も例外ではありません。企業や国民一人ひとりに向けて、化石燃料に頼らない事業活動や生活が要求されています。 |
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スリーマイル島原子力発電所事故 1979日年3月28日(アメリカ) |
チェルノブイリ原子力発電所事故 |
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衰退する世界の原子力―世界の新規原発稼働数、閉鎖数の推移 通常核兵器用プルトニウムはプルトニウム239の濃度が94%以上、ウランはウラン235の濃縮度が90%以上と言われている。これらの高濃縮ウランやプルトニウムを使うと、表1に示すように、少量で原爆を造ることができる。ウランについては遠心分離法等により天然ウラン(235Uが0.7%)を濃縮しその濃度を高めればよいが、プルトニウム239はウラン238と中性子の反応により生成されるため、ウランを原子炉中に装荷して燃焼させて造る。しかし、プルトニウム239も中性子を吸収して高次の同位体プルトニウム240へと核変換する(図1)。そのため、プルトニウム239の濃度が94%以上であるように原子炉内の滞在時間を考えて取り出し、再処理して原爆用プルトニウムを生成する(表1に示すように、米国によれば、プルトニウム239が94%以下の60%以上の軽水炉級プルトニウムでも、爆縮技術の高度化により核弾頭への利用が十分可能であると言われている。また、ネプチニウム237やアメリシウム241も核兵器に転用の可能性がある)。プルトニウムも高濃縮ウランも軍事用の保有量(図2)はピークに達していると考えられる。兵器級の核物質生産は、米国、ロシア、フランス、英国で中止または削減されている。しかし、インド、中国、パキスタンおよび北朝鮮では生産が続いていると見られている。
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下図:たまり続ける日本のプルトニウムに募る懸念 出典:click |
核兵器と原発(1) 出典:click |
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核兵器と原発(2) |
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核兵器と原発(3)出典:click |
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沸騰水型炉(BWR =Boiling Water Reactor)のしくみ原子炉圧力容器に入っている燃料が核分裂することにより、周りの水が熱せられます。すると水は蒸気になり、そのままタービンに送られて発電機を回します。このため構造はシンプルですが、蒸気は放射性物質を含む水からつくられているため、タービンや復水器についても放射線の管理が必要となります。 |
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BWRに改良を加えたのが、改良型沸騰水型炉(ABWR =Advanced Boiling Water Reactor)と呼ばれるものですABWRは、従来は原子炉圧力容器外に設置していた原子炉再循環ポンプを圧力容器内に設置したもので、原子炉再循環ポンプの周辺配管をなくして、単純化しました。また、制御駆動用動力源として、BWRの水圧動力源に加えて電動動力源を追加し、緊急時の安全を確保しました。 |
日本の原発60基、稼働は12基 |
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2024年1月現在、日本全国で12基の原子力発電所が稼働・原発は撤退・収束の方向
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「ウラン系列」の下に「44.7億年」と書かれているのが「半減期」です。その放射性同位体の原子数が半分になるのにかかる時間のことです。ウラン238の場合、44.7億年もかけてやっと半分になる、ということがわかります(ちなみに、このウラン238というのは天然に存在するものです。この量が多い土地が、ウラン採掘場とされることがあります)。その次のトリウム234の場合は、半減期が24.1日と書いてあります。ウラン238に比べてずいぶん短いことがわかります。約24日で、半分の量になっていきます。その次は少し飛ばして、次のウラン234は24.6万年かかって半分になると書かれています。同じ元素であり、 違う同位体であるウラン238と比べると、ずいぶん短いですが、私たち人間の感覚から言うと、とても長い時間と感じます。このように、各元素の各同位体(「234」や「238」などの同位体番号で区別されます)ごとに、半減期の長さは決まっています。ウラン238は、最終的に、 鉛206(右下)になって安定を迎えます。とうとう放射 線を出さない安定状態となり、そこで「ウラン系列」の長い放射性崩壊の旅は終わります。 |
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青森県六ヶ所村の再処理工場で保管されている核のゴミ オレンジ色のふたの下に収納されている 現代の欲望が未来に10万年の負の遺産を背負わす ①放射性廃棄物の中で、最も放射能レベルが高いのが、発電で使い終わった核燃料(使用済み核燃料)です。 ②日本では、さらにここから再利用できるプルトニウムなどを取り出し、残った廃液をステンレス製の容器に流し込んで固めています(=ガラス固化体)。これが核のゴミです。 ③専門的には「高レベル放射性廃棄物」と言いますが、放射能レベルが非常に高く、処分も難しいので、かなり厄介だというニュアンスを込めて「核のゴミ」と呼ばれるようになりました。 ④核のゴミは非常に放射能レベルが高く、できたばかりの時には近寄ると20秒ぐらいで、人が死んでしまうぐらいの強い放射線が出ているんです。 ⑤ただ、放射性物質の種類によって違うのですが、高レベル廃棄物も1000年ぐらいたつと大体99%ぐ放射能はなくなるといわれています。 ⑥でも、それではまだ最終的に安全とは言えないということで、天然のウラン並みの放射能になるためにかかる「数万年」にさらに余裕を加え、10万年は隔離しなきゃいけないという話になっています。全部で2万600トンに上る計算になります。 ⑦議論が進むきっかけとなったのは、10年前の福島第一原子力発所事故です。
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上図:六ヶ所村核処理工場 下図:核廃棄物の最終処分候補地 出典:click |
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上図2点:核融合炉イメージ図
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AI(人工知能)の未来について | ||||
出典①:click 出典②:click | ||||
AI(人工知能)の未来について AIが人間の脳の処理能力を超えるシンギュラリティの時代がやってきます。現在でもチェスや囲碁などのように、既にAIの能力が人間を上回っている分野が存在しますが、今後はこれが加速し、多くの分野でAIが人間の能力を超えてくるでしょう。AIにより今後20年以内に2分の1の仕事がなくなると言われています。経理や総務など事務系の仕事は特に早い段階からAIに仕事が奪われることになると予想されています。 | ||||
ロボットの未来について 既に工業用のロボットなどは多く存在しますが、今後は表舞台にもロボットが多く出現することになります。例えば、飲食店で料理をつくるロボット、学校で授業を行うロボット、交通整理を行うロボット、病院で手術を行うロボットなど。人間よりも力持ちで、正確な動きができるロボットは重宝されるでしょう。また、3Kと呼ばれる「きつい、汚い、危険」な仕事ほど早くロボットが活躍するとも言われています。ロボットが消防員をやれば、火事の中でも安心して救助活動ができるわけです。
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上図:IBM、53量子ビットの新型量子コンピュータ 出典:click |
IBMにとって第14世代目となる量子コンピュータは同社史上最も高性能で、システムの心臓部にあたる基本データ処理要素には53個の量子ビットが搭載されている。同システムは、量子ビット数が1つ前の「IBM Q」マシンの20個から大幅に増加しており、従来型コンピュータに量子物理学という奇妙な分野を融合する取り組みを前進させるものとなるはずだ。 |
AIがスパコンと量子コンピュータ組合すコンピュータは新たな次元へ |
出典:forbesjapan.com テクノロジー 2022.11.09 11:45 |
コンピュータの計算能力というのは、何を計算させたいのかによって違ってきます。処理能力高いコンピュータとして有名なところでいうと、日本の誇るスーパーコンピュータ「富岳」でしょう。スーパーコンピュータの世界ランキング「TOP500」で4期連続(2年間)1位を獲得してきましたが、現在は2位となっています。 |
一方、最近よく聞くのが「量子コンピュータ」ではないでしょうか。これは、量子力学における物質の性質を利用したコンピュータで、これまでのコンピュータでは長時間かかる計算も短時間で解けるということで、世界的に開発競争が激しくなってきています。 |
ただ、この量子コンピュータは万能というわけではなく、量子シミュレーションや機械学習などの一部計算にしか有効ではありません。ほかにも、特定の分野にのみ処理能力を発揮するコンピュータも開発されており、利用者は解きたい内容によってどのコンピュータを利用するのか考える必要がありました。 |
そこで富士通は、利用者が解きたい問題に対して計算時間や演算精度、コストといった要件に応じてAIが最適なコンピュータを自動で選択し演算できるソフトウェア構想「Computing Workload Broker」を企画。その先駆けとして、量子化学計算の問題に対して、量子コンピューティング技術とハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)を組み合わせて自動的にハイブリッド計算する量子・HPCハイブリッド計算技術を世界で初めて開発しました。 |
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具体的には、世界最大クラスの39量子ビットの量子コンピュータと「富岳」のCPU「A64FX」を搭載した「PRIMEHPC FX700」を用いて、利用者の解きたい量子化学計算の問題に応じて最適な計算手法をAIが自動で組み合わせて選択するものです。これにより、利用者は専門的な知識が無くとも、解きたい問題に対して最適な形で量子シミュレータとHPC技術を利用可能になります。 |
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AIのエネルギー消費に関する雑感 出典:click |
今後大きく増加が予想されるのが、AI (深層学習) を用いるデータ処理業務である。近年、Web・メール・データベース等のビジネス業務に関わる従来型のデータ処理とともに、 AIを活用したいわゆるビッグデータ解析向けのデータ処理が増加している。一般にこれらの計算はサービスを展開する事業主 (商用クラウドであればGoogleやAmazonなど) が管理するデータセンターにおいて行われている。(下図) |
このデータセンターのエネルギー消費動向について、低炭素社会戦略センター (LCS) が2021年2月に調査報告書を出している[8]。報告書によれば2018年のデータセンターの消費電力量は、国内で14TWh、世界で190TWhと推定されている。さらに、計算負荷の増大傾向が将来にわたって継続する (かつ飛躍的な技術革新がない) 場合、2030年に国内で90TWh、世界ではなんと3,000TWhになるとの見通しを出している。つまり先述したEV普及の3倍に相当する電力需要が将来発生する可能性を示唆している。 |
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2030年の推定は世界のIPトラフィック量に基づく2018年のIPトラフィック量は10.8ZBだったが、2030年に170ZBに到達すると予想されている。このデータ流通量比に応じてサーバー処理の負荷が増加すると仮定すれば電力消費量は15.7倍となる。ただし、流通量に応じてサーバーの処理性能も向上すると考えるのが自然だろう。仮に現時点の最新CPU (1,000Gflops、150W) が2030年のボリュームクラスとなれば、処理能力は3.3倍となり、電力消費量は5倍程度 (データ流通量比/処理能力比) に落ち着くと考えられる。以上のようなロジックから2030年時点の消費電力量は推定されている。(下表:データセンターの消費電力量の推定値 ) |
上図は米国スリーマイル島原発事故の画像 |
生成AI、頼みは原発…消費電力は通常検索の「10倍」 |
出典:click |
生成AIを動かすデータセンターでは、24時間態勢で大量のサーバーや冷却設備を動かしており、安定した電力が欠かせない。 原発は発電時にCO2を排出しないうえ、再生可能エネルギーと比べて発電量が安定していることが、米IT各社の投資判断につながっている。 米国政府は23年、世界の原発の設備容量を、50年までに20年比で3倍にする方針を日本政府などとともに表明し、小型原発などの開発を支援する。 国際エネルギー機関(IEA)の1月の発表によると、22年に約4600億キロ・ワット時だった世界の生成AI関連の電力消費量は、26年に1兆キロ・ワット時を超える可能性がある。 日本の年間電力消費量を上回る規模だ。 日本でもデータセンター増設やAIの普及で電力需要は増えると見込まれている。 |
【ニューヨーク=小林泰裕】生成AI(人工知能)を開発する米国のIT企業で、原子力発電所から電力を調達したり、小型原発を開発中の新興企業に投資したりする動きが広がってきた。生成AIの開発やサービス提供には膨大な電力が必要となるため、二酸化炭素(CO2)を排出せず、安定して発電できる原子力発電が注目されている。 |
米マイクロソフト(MS)は9月、米スリーマイル島原子力発電所1号機(約84万キロ・ワット)から20年間、電力を購入する契約を結んだと発表した。1号機は2019年に稼働を停止したが、同原発の所有企業が16億ドル(約2400億円)をかけて改修し、28年までに再稼働させる予定だ。2号機は1979年に炉心溶融(メルトダウン)を起こし、廃炉作業が進んでいる。 |
米グーグルは10月、小型原発を開発する米新興企業カイロス・パワーと50万キロ・ワットの電力の購入契約を結んだ。米アマゾン・ドット・コムも10月、小型原発開発の米新興企業Xエナジーに、他の投資家と協力して5億ドル(約750億円)を投じると発表。「チャットGPT」を開発した米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)らも原発開発企業を支援する。 |
生成AI関連事業には大量の電力が必要だ。「チャットGPT」に質問して回答を得る場合、グーグル検索の約10倍の電力を使うという。生成AIを動かすデータセンターでは、24時間態勢で大量のサーバーや冷却設備を動かしており、安定した電力が欠かせない。 |
国際エネルギー機関(IEA)の1月の発表によると、22年に約4600億キロ・ワット時だった世界の生成AI関連の電力消費量は、26年に1兆キロ・ワット時を超える可能性がある。日本の年間電力消費量を上回る規模だ。日本でもデータセンター増設やAIの普及で電力需要は増えると見込まれている。 |
日本政府は23年、脱炭素電源として原子力発電を「最大限活用する」との方針を閣議決定し、再稼働を進めている。産業界の期待も高く、日本製鉄の橋本英二会長は7月、政府の有識者会議で「原発の再稼働や新増設が必要になる」と指摘した。政府は、40年度の再生可能エネルギーや原発などの電源構成を柱とした次期エネルギー基本計画を年度内にまとめる方針だ。 |
小型原発 =出力が数万~数十万キロ・ワットと従来型より小さな原子炉を利用する原子力発電所。炉をプールに沈めたり、地下に設置したりして安全性を高め、主要機器を工場で組み立てることで建設費の削減を目指している。米国などで開発が進んでいる。 |
直径1mで25年間燃料交換なし三菱重工の超小型原子炉 |
三菱重工業が超小型原子炉(マイクロ炉)の開発を進めている(図1)。炉心サイズが直径1m×長さ2mとトラックで運べる小ささだ。可搬性に優れることから、離島やへき地、災害時の電源として期待できる。次世代原子炉としては電気出力300MW以下の「小型モジュール炉(SMR)」などにも注目が集まっているがマイクロ炉はそのSMRよりも小さい。 |
三菱重工によると、マイクロ炉の設計寿命は25年を目標としており、その間の燃料交換を不要にする。想定する熱出力は1MW、電気出力は500kWほど。大まかな比較だが、原子力発電所の大型軽水炉1基あたりの電気出力を1GWとすれば、マイクロ炉は数千分の1。前述のSMRと比べても、数百分の1程度の規模である。運転開始の目標時期は2040年ごろと少し先だ。三菱重工業取締役社長兼CEO(最高経営責任者)の泉澤清次氏は2022年5月に開いた決算説明会で「脱炭素とエネルギー安全保障の観点から原子力が再評価されている」と語り、マイクロ炉を高温ガス炉(HTGR)や高速炉と並ぶ、同社の次世代の原子力技術として位置付けた。 |
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下図:マイクロ原子炉・高温ガス炉 BANR 出典:click |
BWXテクノロジーズ(BWXT)の「BANR(BWXT Advanced Nuclear Reactor)」は、電力網の未整備地域や遠隔地での利用を想定した、電気出力1,000~5,000kWの輸送可能な極小原子炉の高温ガス炉。電気、プロセス熱、またはその両方を出力するコージェネレーション・モードなど、出力に柔軟なオプションを提供する。 |
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